一口馬主の仕組み、本物の馬主との違い

一口馬主とはどういう仕組みで成り立っているのでしょうか。実際の馬主との違いを含めて解説していきます。

一口馬主の仕組み

一口馬主クラブは、2つの会社によって構成されています。一つは愛馬会法人(例:サンデーサラブレッドクラブ、キャロットクラブ)、もう一つはクラブ法人(例:サンデーレーシング、キャロットファーム)です。

愛馬会法人 馬主資格なし
出資会員を募集する
クラブ法人 馬主資格あり
競走馬を走らせる

競走馬を所有し、それに対して出資者(会員)を集めるのが愛馬会法人。会員さんが入会するのはこちらの法人になります。しかし、愛馬会法人は馬主資格を持たないため競馬に出走させることはできません。

そこで馬主資格を持つクラブ法人に「現物出資」というかたちで馬を受け渡し、競馬に出走させます。そのため、競馬新聞などの馬主欄に記載されるのはクラブ法人の名前になります。そして馬が稼いだ賞金はクラブ法人から愛馬会法人へと移され、のちに会員へと分配されます。

なぜこのような分かりにくい形態になっているのか、1つの会社でやればいいじゃないかとも思いますが、一口馬主と似たシステムができ始めた1970年代には1つの会社で共有馬主を運営するものだったようです。ただ当初から一口馬主(共有)クラブに対しては「名義貸しじゃないか」という指摘がなされていて、その指摘から逃れるために「匿名組合契約」に基づく出資という方式を考案。すると金融庁の管轄下に入ったクラブは金融商品取引法の規定に対応するべく、会社を2つに分けるというシステムに行きついたようなのです。ちなみに一人の会員が出資できるのが口数の50%未満と定められているのは、名義貸しを回避するためと言われています。

一口馬主というシステムは自然発生的に生まれてきたもので、そこに対して事後的に規制や法律が当てはめらることが少なくなく、そのため存在自体がグレーと言われることもあります。農林水産省(JRA)、金融庁、競馬法、金融商品取引法などなど、様々なものに監督され、あるべき姿を探りながら現在進行形で発展しているのが現状なのです。

本物の馬主とどう違う?

資産や収入などのハードルをクリアした人がなれるのが本物の馬主。正式な馬主資格をもたない一口馬主の会員には当然、できることに制約が出てきます。馬主の資格を持つのはクラブ法人であり、会員が「馬主行為」を行うことはできないのです。

馬主 一口馬主
口取り写真撮影 できる 10名まで(重賞は20名)
愛馬への命名 できる 会員が応募した候補から選ぶのが一般的
競馬場の馬主席エリアの出入り できる できない。クラブの招待イベントがある場合も
レース選択・騎手選択 できる できない。クラブが調教師と行う
トレセン立ち入り できる できない
牧場見学 できる できる(クラブを通す場合がほとんど)

上記のように、あくまでクラブ会員として許可された範囲内での活動となります。この中で多くのクラブ会員が楽しみにしているのは、愛馬への命名と口取り写真撮影への参加ではないでしょうか。自分が名付けた馬が走り、さらには勝った時の記念撮影に加わることができる、これは一口馬主にとっては最大の喜びだと思います。

ただこの権利も、あくまでクラブから与えられたものになります。クラブによっては「一部の馬の名前は会社が決める」と明言しているところもあります。また、口取り参加については関係者による努力によりようやく認められたものです。基本的に、そして歴史的に、本物の馬主は一口馬主クラブと会員に対しては良い顔をしてきませんでした。自分たちのいわば「特権」を侵すものとして認識してきたわけです。ただ競馬ブームを経て一口馬主が市民権を得てきた昨今では、一口馬主=ディープな競馬ファンが競馬社会を支える重要な存在と認識されてきたため、 一口馬主への様々な権利が認められてきたのです。

これまでも一部の悪質なクラブ会員のマナー違反的な振る舞いにより、あるクラブは一時的に口取り参加が認められなくなるという事件もありました。一口馬主といえども、馬主としての良識ある行動が求められているのです。

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